感情の振れ幅

2013年3月2日(土) 20時47分

大人の生徒のAさんは今、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」第1楽章を弾いています。

「悲愴」は、ベートーヴェンが難聴を自覚した時期に作曲されました。
音楽家の命とも言える聴覚を失うなんて…どれほど悲しかった事でしょう。
しかしこの「悲愴」はそんなベートーヴェンの個人的な悲しみの次元でなく、人生において対峙せざるを得ない困難や悲しみを表していると言われています。
技術的に難しいだけでなく、表現の面でも精神性とでもいうようなものを求められる曲です。

Aさんはこの難しい曲を、本当によく弾いています。
何より、表現しよう という気持ちが演奏から聞こえてくるのが素晴らしいです。
Aさんの「悲愴」第1楽章は、もう仕上げの段階です。^_^

レッスンの後、Aさんが話された事が心に残りました。
「年を経るごとに、感情の振れ幅が大きくなっている気がします。
うれしいとか悲しいとか、腹立たしいとか。。
年をとると丸くなるなんて言いますが、その反対な感じです。
この感情の振れ幅を、演奏に活かしたいものです。」

ふ、深い。。

これこそ、大人ならではのピアノの向き合い方ですよね。
自分の感情の揺れ動きを表現するのに、音楽ほどふさわしいものはない気がします。

感情の振れ幅が大きくなる…それはしんどい時もあると思います。
喜びを強く感じるのは良いですが、悲しい時は心が張り裂ける思いをするでしょう。

それでも喜びをより強く、悲しみもより深く感じられる人生は素敵だと思いました。
私も年を重ねるにつれ、ますますみずみずしく感じる気持ちを持ちながら、生きていきたいです。

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